私が今までに読んだ本とは違っていて、興味深い点がいくつか。
- 例えばQuineでは、論じているドメインの知識は捨ててしまって、それでも残るのが論理という言語や思考の性質、という感じであり、他にもそういう本がけっこうあり、それは確かに論理の本質なのだが、日常の議論においては、ドメインの制約も論証の一部として利用しているということから、どうもすわりが悪かったのが本当のところ。この本は、その点を明確にし、ドメインと論理の兼ね合いも分析的帰結(Analytic Consequences)として、TW-帰結(TWにおけるドメイン知識活用)、TT-帰結、FO-帰結、論理的帰結などと分類しつつ適切に導入している。これはありがたい。
- 非形式的証明という名のもとに、自然言語での証明についてもページを割いているのだが、これが前項と相俟って内容豊かになっている。すなわち、論理の推論規則だけだと、骨組みだけの荒涼とした証明となるが、ドメイン知識による推論もカバーしているので、日頃、コンピュータ科学や数学で使われている証明に近い内容になる。しかも、どの推論が(ある意味)pure論理で、どの推論がドメイン知識かという関係も明確にしてそれをやってくれる。
これだけでもこの本を読んだ価値はあった。
こつこつ。
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